住宅ローン未払利息と5年ルールや1.25倍ルールの意味は?変動金利が怖い理由

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未払利息(みばらいりそく)という言葉をご存知でしょうか?

住宅ローンの相談に銀行に行った際に提案されることの多い、変動金利型住宅ローン。

せっかく低金利の住宅ローンを組んでも、社会情勢が変わって金利が高くなった場合に、トータルの返済額が大きくなる恐れがあるんです。

低金利の2019年2月現在、都市銀行はじめ地銀各行の変動金利型住宅ローンの適用金利は1%を切っています。

この記事では、いま変動金利型住宅ローンを組む場合にあらかじめ知っておく必要がある言葉として「未払利息」について説明します。

未払利息と非常に関連が強い「5年ルール」「1.25倍ルール」についても触れました。

 

1.住宅ローンの5年ルールとは?

5年ルールは大蔵省(現在の財務省)が1983年に出した、民間金融機関が変動金利型住宅ローンを元利均等返済方式で借す際の通達を元に生まれました。

金利が上がると月々の返済額が増えるイメージがありますよね?

ですが、返済方法の種類が「元利均等」の場合、金利が急激に上がったことによる月々返済額の急増を防止することを目的に、「5年間ルール」とよばれる規定があるんです。

金利は半年に一度見直され、翌月から新しい金利が適用になります。

しかし、月々の返済額は変わらないんですよ。

どうなっているのかというと、返済額の内訳が変わるんです。

金利変更前の返済額の内訳が

  • 元金4割
  • 利息6割

だったとします。

半年の金利見直し後に金利が急上昇した場合、

翌月の返済額は変わらず、内訳が

  • 元金3割
  • 利息7割

と言った具合に、金利上昇に応じて変わるわけです。

ということは、同じ金額を払っても、残債が減りにくくなるということになります。

衝撃ですよね。

低金利時代の今、変動金利型住宅ローンを検討する場合にはこの5年ルールをしっかりと意識しておいてくださいね。

2.住宅ローンの1.25倍ルールとは?

1.25倍ルールは、5年ルールと同様に大蔵省の通達により生まれた決まりです。

上で説明した通り、金利は半年に一度見直されます。

金利が上がった場合でも、5年間は返済額が変わりません。

ただしその間に金利は半年に一度見直され、仮に5年間がり続けた場合、利息の割合が以前よりかなり大きくなることが考えられますね。

そして前回の返済額見直しから5年後には、また返済額が見直されます。

その際、金利が上昇していた場合は、返済額が増えますよね。

ですが、新しい返済額は、それまでの返済額の1.25倍以内になるように抑えられます。

これは「1.25倍ルール」と言われている規定で、金利が上昇し続けている時には非常にやっかいなルールです。

1.25倍ルールは住宅ローン利用者の返済額急変を防ぐ目的で存在するのですが、金利上昇が長く続いた場合には、大変な事態に陥る可能性があるんです。

3.住宅ローンの未払利息とは?

低金利の変動金利型住宅ローンを元利均等返済方式で借りた場合の大変な事態とは、住宅ローンの残債が一向に減らず、さらに利息も月々返済額内で払いきれなくなるという想像もしたくないような状況のことです。

未払利息が発生している状態ですね。

未払利息は、月々返済額の内訳のうち、利息部分の割合が10割を超えると発生するんです。

この未払利息が発生する状況になると、毎月住宅ローンを払っても、元金が減りません。

利息も払いきれないので、総返済額がどんどん増えて行くんです。

恐怖しか無いですよね。

一体どうしたら良いんでしょうか?

実はそれにも規定はあります。

  • 次回の月々返済額の見直しの際に一括で払う
  • 以後の月々返済に均等に割り振って払う

のどちらかを選べます。

どっちも選びたくないですね!

払っても払っても終わらない住宅ローン。

金利の上昇が長く続いた場合、当初設定した返済期間では払いきれません。

こうなると期間延長となります。

これはバブル期に流行った「ローン地獄」という言葉が本当の意味で当てはまりますよね。

「ついに家を買ったぜ!ローン地獄の始まりだ〜」

などと喜んでいた時代には、実は変動金利型住宅ローンを組んでおくと非常に得したんです。

上でも触れていますが、

変動金利、特に元利均等返済の変動金利住宅ローンを選択する場合は未払利息のリスクをしっかり理解した上で契約するようにしてくださいね。

4.「5年ルール」や「1.25倍ルール」は法律で規定されていない?

5年ルールや1.25倍ルールは、法律で規定されたものではありません。

今回記事を書くに当たり、5年ルールと1.25倍ルールのルーツを調べましたが、貸金業法や銀行法には規定されていませんでした。

ですが、国土交通省住宅局が2010年に行なった住宅ローンに関する検討会で出された質問をまとめた資料に記載されていたんです。

上でもサラッと書きましたが、大蔵省(現在の財務省)の出した通達をもとに民間金融機関によって制度化したもので、目的は住宅ローン利用者の返済額激変を緩和すること。

これまでにバブル期前から短期間、金利が大きく上昇し続けたことがありました。

その頃、未払利息が発生したケースがあったようです。

バブル崩壊後は金利は下がり、長きに渡って現在まで金利が上昇カーブを描くことはありませんでした。

しかし、今後もし長い期間に渡り金利が上昇する局面がやってきた場合には、変動金利型住宅ローンを組んで返済している多くの人が未払利息を経験するかもしれません。

ちなみに、大蔵省が出した「民間住宅ローンの金利・商品生を規制する通達」は、1994年7月に廃止されています。

現在のところ、5年ルールと1.25倍ルールを見直す動きはなく、実際に困ったケースが続出してから対策されると考えられそうですね。


以上、今回は未払利息と5年ルールや1.,25倍ルールについてでした。

低金利状態の現在では、今後の金利上昇リスクを考えると固定金利型住宅ローンを選択する方が安全だと言えそうですね。

未払利息、怖いですからね。

たとえこれまで稀なケースだったとしても、金利が上がり始めたら一気に変動金利や未払利息の危険性が叫ばれるようになるはずです。

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最後まで見ていただきありがとうございました。

次の記事もお楽しみに。

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